52週かけてShifterでブログを作った話とメディア立ち上げのあれこれ
この記事は、Shifter アドベントカレンダー2021の13日目の記事です。
前半は「自信ない」「サイトメンテナンスできない」「ネタがない」と悩みながら、最終的に Shifter というサービスを使って当ブログを立ち上げた話をつらつらとします。
後半では、企業におけるメディア立ち上げと運営の話を真面目にさせていただきます。
これから個人でブログ立ち上げようかなとか、法人でブログメディアサイトを作ろうかなと思っている方のご参考になれば幸いです。
目次
ブログを始めたきっかけと、始めるまでに感じた3つの壁
2020年7月に入社したデジタルキューブという会社がアウトプット奨励文化だったことがきっかけです。
「(ブログ書かないやつは)アウトプット便秘」「ブログ書くまでがイベント」みたいな言葉が交わされるのを目にしたときは正直気持ち悪いと思いました。
ただ一方で情報発信への憧れもありました。というかもともと情報発信への憧れがあったために、前々職で企業ブログを起案して運営したり、前職でコンテンツマーケティングができる会社に勤めたりしたくらいです。
このまま自分のブログを作らずに死んだらたぶん後悔するなと思い、情報発信をしてみよう、と決めました。
ただすぐにブログが始められたわけではなく、半年くらい足踏み期間がありました。
理由は大きく3つです。
- 極度の不安と見栄
- どこに載せよう?
- 何を載せよう?
1. 極度の不安と見栄
下記のようなことで悩んでいました。
- できる自信、続けられる自信がないし、途中でやめてカッコ悪い感じになりたくない
- 何か、自分や会社にとってまずいことを発信してしまうのではないかという不安
- ドメインやロゴやサイト名、どうしよう
背景のひとつには、大学生の時に作ってしまったmixiという黒歴史があったのかもしれません。
対処方法
発信自体が不安すぎたので、「まずアウトプットする自分に慣れよう」と思い、Twitterで細々と情報発信することから始めました。かっこよくいうとフィジビリティスタディです。
オンラインイベントに参加して感想をつぶやいてみたり、考えていることを figma で図解してみたり、参考になった記事をブックマーク的にシェアしたり。これにより、発信することに対する不安感はある程度払拭できた気がします。
参考にさせていただいた徳力さんの本:
2. どこに載せよう?
ブログをどこに載せようか、これも割と悩みました。
前職のメディア運営で WordPress を使っていたので、使い慣れた WordPress が良いと思っていました。が、昔がんばってレンタルサーバー & WordPress でサイトを作ったものの、そもそもテックに詳しくないしメンテナンスがむちゃくちゃめんどくさい(というかできない)し、つらいむり…という経験をしたことがあったため、「なるべく楽にサイトが作れて、メンテナンスの手間なく楽に運用したい」と考えていました。
対処方法
さくっと始めたいと悩んだ結果「あ、note でいいじゃん」と思い、始めに note で数記事書きました。
しかしコンテンツは楽に書けるけど見た目が制御できない、ブログプラットフォームという性質上、記事が自分の持ち物という実感が持てない、やっぱり自分のサイトを作ってやってみたい、といった理由から note は早々にクローズしました。
その上で、前述の点が解消できそうだった、自社サービスである Shifter を使うことにしました。note がいけないということではなく、単純に私の嗜好とマッチしなかったということです。
Shifter を使ってみて
サイトの立ち上げ自体は非常に楽にできたと思います。ドメインの設定だけ大変でしたが、中の人に助けてもらいました。
使い始めの頃は「静的化」という概念に慣れず、WordPress の立ち上げやジェネレートがめんどくさく感じました。きちんとチェックしたにもかかわらず、ジェネレート後にちょっとした誤字を見つけてしまい「また WordPress を立ち上げないといけないのか…」とげんなりしたことも何度かあります。
が、使ってみてしばらくして、ふと自分がサイトを何もメンテナンスしていないことに気づきました。アップデートだセキュリティだなんだかんだといった、自分でできないことは何もしていない状態です。
よくよく考えると静的化にかかる手順って、通常の WordPress から手間が多く増えたわけではないんですよね。確かに WordPress の立ち上げとジェネレートに少し時間はかかりますが、待っている間に別のことをしてれば良いわけですし。
ということで、メンテナンスのことを気にせずコンテンツのことだけ考えていれば良いという状態が作れて良かったと思います。
3. 何を載せよう?
これも悩んでいました。ひとりでネタ出し会を何回やったかわかりません。
色々考えた結果、まずは仕事のアウトプットの場としてブログを書くのが順当だろうと思い、日々の仕事をフォーマット化しながら少しずつコンテンツを考え、2021年の GW にやっとブログを公開しました。
今は自分のために、日常業務を中心に思考整理したり備忘録を残したりするための場として細々と運営を試みています。Backlog の Wiki に書き溜めていたことをブログにしたり、イベントで LT が決まったタイミングで思考整理のためにブログを作成してからスライドを準備したりといった流れで投稿を作成しています。
ブログを始めてみて
自分のブログが作れたので、死ぬ時に後悔することが1つ減りました。笑
何より、自分のために書いてはいるものの「参考になった」と言っていただけたりフィードバックをいただけたりするのは本当にありがたいです。
ただあまり更新できていないので、来年はもう少し頻度を上げてみたいとぼんやりと考えています。
実はメディア立ち上げの悩みとプロセスは個人も法人もすごく似ている
ここまで読んでくださった方々の中でお気づきの方もいらっしゃるかもしれません。はい。実はブログやメディア立ち上げの悩みやプロセスは、個人のケースも法人のケースもすごく似ているんですよね。
1→企業の場合: メディアの存在価値定義
極度の不安と見栄の話は、企業のメディア立ち上げでいうと「メディアの存在価値定義」かなと思います。起案者が下記のようなことをまとめて経営層に提案し合意に持っていくフェーズです。
今作る必要性
- 市場や競合の状況と自社の現状
- 目指す理想とのギャップ
ゴールイメージとターゲット
- メディアを作ることでどう自社の事業に貢献し、どんな世界観がどんなストーリーで実現できそうか
- 事業貢献の例:売上アップ/認知度アップ/潜在顧客へのリーチ/既存顧客のファン化/社内コミュニケーション活性化 など
- 誰にどんな価値を提供するのか (→これがサイトのタグラインや編集方針の元になる)
事業毀損のリスク
- 想定されるコストとリターンは超概算でどのくらいか
- リスクがある場合、防ぐ手段はあるか
- 効果測定や撤退判断をいつ・どのように行うか
これはとりあえず私のケースと同じく、「やってみないと何とも言えない」ところがあるので、スモールスタートやフィジビリティスタディができる環境ならそれが一番手っ取り早いように思います。
参考)スモールスタートで始めた後に本格的にブログサイトを開始された事例:
三菱重工業様 社内向けコミュニティサイト「Growth Base」をリリース、グループ横断型デジタルコミュニティを短期間で実現
2→企業の場合: “現実的な”運用コストとリソースの検討と確保
企業の場合「どこに載せよう?」は「“現実的な”運用コストとリソースの検討と確保」の話でしょうか。
メディア立ち上げという企画大枠の合意を取ったら、サイトの運用・保守を、ヒト・モノ・カネの観点で検討し、情シスなどと調整し、決裁を取りに行くフェーズがここにあたるのではと思います。
カネ:メディア運用保守にどの程度のランニングコストをかけるか
- 自社内で前例があればそれをベンチマークにする
- 予算をどの部署から出すかなども社内調整の上決定
モノ:何を使ってメディアサイトを立ち上げるか
- (CMSを使うのであれば)各種CMSを、価格・機能・メンテナンス性・拡張性・サポート対応などの観点から比較
- ホスティングについても同様に比較
ヒト:自社にサイト保守運用の知見がある人材がいるか、リソースがあるか
- 使うモノに対してある程度の知見を持つ人材がいるか
- 人材がいる場合、「なるべく常に」そのリソースを確保できそうか
- 人材がいない場合、どうするか(外注するか?人を雇うか? など)
これは、それぞれの企業のリソース状況によりますね。
ただ2つ目は特に、お願いできそうな人がいたとしても、例えば「毎年1〜3月は他の仕事やらなきゃいけないからサイトの面倒見られないわ」となったら、その時期に何かあると困ります。
ゆえに少なくとも「がんばって提案して稟議を通してメディアを作ったけど、お守りをする人が誰もいなくて詰む」みたいな状況は絶対に避けたいところ…ついでにいうと、お守りをする人が退職となった場合も割と詰みやすいので、属人化しない体制もサイト立ち上げ前に考えておきたいところです。
3→企業の場合: コンテンツ制作・コンテンツマーケティング
「何を載せよう?」という話は、言わずもがな「コンテンツ制作やコンテンツマーケティングの話」ですね。
メディアによりますが、編集長やデスクが中心となって下記のようなことを検討し、関係者に動いてもらい、コンテンツを作り続けるフェーズです。
メディア立ち上げ前
- 自社または事業の存在価値の定義
- 編集方針策定と合意
- ペルソナ設計
- ユーザージャーニー設計
- コンテンツのタイトル案作成
- カテゴリー案作成
- 制作リソース確保(編集者、ライター、監修者、識者、校正者、図版制作者、カメラマン)
- メディアサイト構築(必要な機能と導線の洗い出し、スケジュール作成、ワイヤーフレーム設計、パートナー選定、デザイン&開発状況の確認、ローンチ前テスト、ローンチ対応諸々…)
メディア立ち上げ後
- 企画構成案の作成とレビュー
- デリバリー先の想定
- 編集者とライターの担当分野割り振りと方針伝達
- 取材、編集、校正、公開
- サイトの改修
- モニタリングとKPI達成状況の可視化
- 振り返り、来期方針の策定
- 来期方針を制作関係者に周知
など
私もデスクをやっていた経験があるのでわかりますが、割とパワーを使います。
メディアの価値を己に問い続けて、周りに示し続けて、メディアをアップデートし続ける、というフェーズです。
メディア立ち上げ前にある程度の企画の土台を固めて制作リソースを確保してしまえば、あとは比較的順調にコンテンツを生み出していくことはできますが、それでもやることは沢山あります。
日々のモニタリングや記事チェックはもちろん、編集者やライターさんから上がってくる要望や不満を調整することもありますし、偉い人たちに「メディアって、何か成果出てるの?事業にどう貢献してるの?」とか言われたりします。効果が出ていないと判断されるとサイトがクローズすることになったりします。結構切ないものがあります。
まとめとお知らせ
ということで雑ですが
ブログやメディアはとても手間がかかる。
できる限りコンテンツ制作・コンテンツマーケティングに集中できる環境を作って、さくっと始めて、コンテンツで成果を出すことに集中しよう!
というまとめで締めたいと思います。
なお、弊社デジタルキューブでもコンテンツマーケティングをやっているチームがおりますが、正直伸び代・白地ともに広大でございます。というか、人が足りません。
そんなわけでコンテンツマーケティングやりたい人、絶賛募集中です!
*社長OKをいただいてこの告知をしておりますので、ご興味ある方はぜひおんだにDMください。
余談 & Special Thanks
ちなみにこのShifterアドベントカレンダーへの参加は、一年前のTwitterのやりとりを受けたものです。
情報発信に憧れていただけの私に課せられた「52週かけてアドベントカレンダーに挑んでみた」というテーマ。やっと回収できました〜いえーい。笑
参加を促してくれた @shuseitoda さん、キャッチーな課題をくださった @understandard さん、社内で「アドベントカレンダー書ぐ奴はいねがー」って呼びかけてくださった @marushu さん、ありがとうございました。
良いお年を。